【モンハンワールド】逆鱗日和 第7回:準備完了!
「角満のやつ、きっとこの週は『モンスターハンター:ワールド』のことを書いているんだろうな」
と思わせておいて、まんまと『モンハン:ワールド』のことを書かせていただきます。
このコラムが世に出るのは1月25日。『モンハン:ワールド』の発売前日である。そのころにはきっと、不安と恍惚で夜も眠れず、食事も喉を通らず、仕事も手につかず……という、イモムシをデスクに座らせておいたほうが役に立つんじゃねえか……と思われるほど、心ここにあらずの状態になっているであろう。
でも、それもしかたがないと思うのだ。だって……ずっとずっと待っていた、『モンスターハンター』の新しい提案がまもなく手元にやってくるんだもの!
……と、いまなんのためらいもなく“新しい提案”と書いたが、はたしてそうなのだろうか?
いやもちろん、ユーザーである我々から見ると、エリアチェンジのないつながったフィールド、クエスト中でも装備を変更できるシステム、深まった世界観などなど、まったくもって新しいことずくめで目がくらむようなのだが、制作者にとっては“数年来の夢がようやく実現できた”という類の話なのかもしれない。
2017年の年末。とある『モンハン:ワールド』の関係者と、忘年会と称してサシでお酒を飲んでいたとき、僕は疑問に思っていたことをいろいろと質問してみた(まあ99%以上、ここには書けない内容なんだが)。そのとき、関係者の方は、現行の据え置き機の映像表現について詳しく解説してくれたのだが、これがじつに興味深い話だった。僕は、思っていたことをそのまま口にした。
「いまのゲーム機って、4KやらHDRやら、ひと世代前までほとんど知られていなかった規格に対応しているじゃないですか? それって、そっち方面に詳しい人を新たにチームに入れて、開発してもらっているんですか?」
関係者の方は、プルプルと首を振った。
「いやいや。ゲームの開発が本格化する前に、グラフィックの技術者たちが新たに勉強して身に着けるんですよ」
ほー! と驚いて、僕は質問を畳みかける。
「それは……学校に通ったり? もしくは、講師を招いて教えてもらうんですか?」
この質問を、関係者の方は笑いながら否定した。
「まさか(笑)。すべて、独学です。とくにHDR(ハイダイナミックレンジ。明るい部分と暗い部分のどちらの階調も犠牲にせず、より自然でリアルな映像表現を可能にする技術)なんて、『モンハン:ワールド』の企画が立ち上がった当初は、日本中を捜しても詳しく教えてくれる人なんていなかったと思います。なので、技術者用の論文や資料を入手して、独自に研究していたんです」
当時、HDRをキチンと理解して使いこなしていたコンテンツは、海外メーカーのAAAタイトルくらいでした……と関係者の方は述懐した。とはいえ、ライバルメーカーから技術供与を受けるわけにもいかないので、チーム内の映像担当者が独学で身に着けたというのである。そういった陰の努力があったうえでの、あのリアルで美しい映像というわけだ。
そんな話を聞いていたら居ても立ってもいられなくなり、僕は家電量販店に走った。そして新たに、4K&HDR対応のモニター、さらにプレイステーション4 Proを購入! そしてついでとばかりに、ボイスチャットで使う用のちょっといいヘッドホンとマイク、さらにずっと欲しかった加湿器も買った(いや、加湿器関係ないだろ)。これで、ほぼ完全な状態で『モンハン:ワールド』の世界に飛び込むことができるぞ! わーいわーい! もうこの世界から出てこないぞ俺は!!
で……。
先日、『モンハン』のオーケストラコンサートやタマミツネのテーマでもおなじみの和楽器ユニット、HIDE×HIDEさんのライブにお呼ばれして、すばらしい演奏を堪能してきた。そのライブの中盤、『モンハン』が大好きなおふたりは、「もうすぐ、僕らの大好きな『モンスターハンター』の最新作が発売されます」という前振りの後、“あの名曲”を奏でてくれた。その曲はもちろん、
『英雄の証』
である。
荘厳な尺八と三味線の音色が紡ぎ出す、“始まり”を告げる楽曲を聴き、僕は、
「これで……すべての準備が整ったな!」
と、ライブ会場でつぶやいた。
さあいよいよ、狩りの季節の到来だ。今回はどんな出会いが、僕たちを待ってくれているのだろう? これ以上ないほどの期待を込めつつ、最後はこの言葉で。
「一狩りいこうぜ!」
『モンスターハンターライズ』プレイ日記 逆鱗ぶいっ! Vジャンプレイにて連載中!