【逆鱗日和W】第2回:深まる世界

【モンハンワールド】逆鱗日和 第2回:深まる世界

 

前回に引き続き、興奮冷めやらぬ『モンスターハンター:ワールド』のことを。

E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)でのプレイアブルデモや、6月20日に秋葉原で実施された“『モンスターハンター:ワールド』スペシャル公開生放送”を見て思ったのは、ハードがプレイステーション4になり、堰き止められていたクリエイターたちのパワーが一気に解放されたのでは……? ってこと。やりたくてもできなかった表現、載せられなかったシステムが、ここぞとばかりに実現されている気がするのである。

『モンスターハンター:ワールド』が見せるもっとも特徴的な顔は“世界観の深まり”だろう。これまでも、『モンハン』シリーズほど世界観にこだわって作られている作品はないな……と思っていたが、この『モンスターハンター:ワールド』で、いよいよそれが極まってきた。

たとえば、この世界で生きているモンスターたちの姿だ。

数多あるアクションゲームやRPGにはステージやフィールドがあり、その上に人やモンスターが配置されていると思う。それは、『モンスターハンター:ワールド』も同じだ。が……感覚的な表現でまことに伝わりにくいと思うのだが、多くのゲームのモンスターは“プレイヤーキャラが近づいた瞬間から、突如演技を始める”ように、僕には見えることがある。“接近”をトリガーにして、「あ! ヤツが来たから動かなきゃ!」と、慌てて動き出している感じ……と書けばわかるかな(あくまでも個人的な感覚ね)。要するに、非常にデジタルな存在に見えるわけ。

しかし、『モンスターハンター:ワールド』の生き物たちは、まったくそうは見えなかった。ハンターが近くにいようがいまいが……いや、ゲームが起動しているかどうかすら関係なく、つねにその世界の中で生の営みを行っているのでは……とすら思わせられてしまったのである。

これって、すごいことだ。だって、プレイヤーには見えていない部分ですら、存在感……というか体温を放っているように感じさせるんだから。過去、とんでもなくリアルなグラフィックをウリにしているゲームもたくさん遊んできたけど、デジタルなプログラムで動いているキャラクターたちに対して、これほどまでにアナログな感情を覚えたことは、ついぞなかったよ。

『モンスターハンター:ワールド』の制作陣、とりわけ初代『モンハン』の時代からディレクター、世界観監修を務めてきた藤岡要さんは、この新作で何を作りたかったんだろう?

深まった世界観、複雑に絡み合う生態系、呼吸をしているかのような大地、木々……。

『モンスターハンター:ワールド』の“世界の構成物”を見て、しみじみとこう思った。

「あ……。これは、もうひとつの地球だ……」

と--。

こういった深まった世界観、どこかで見たなぁ……と考えていて思い出したのが、『モンスターハンター3(トライ)』の“モガの森”の風景だった。群れるジャギィを忌々しく眺めていたとき、ふいに飛来したリオレイア。この大地の女王の姿を見て肝をつぶしたのか、ジャギィたちはエリアの隅っこに固まって、キャンキャンギャンギャンと吠えるばかりになっていた。

「おお……。モンスターどうしの力関係が表現されている!」

とそのときも感動したものだが、『モンスターハンター:ワールド』では、さらに深まった世界観を見せてくれる。

もうひとつ、思ったことがある。

この『モンスターハンター:ワールド』で展開する世界、俺たちはずっと前から目の当たりにしていたと思うのだ。……そう、『モンハン』シリーズで毎回楽しみにしていた、オープニングムービーで。

ゲーム中ではどうしても描き切れなかったハンターの心情や生活の風景、そしてモンスターたちの生業と生態系を、オープニングムービーは切り出して見せてくれていた。それを見るたびに、「ハンターたちはこんな生活をしているのか」とか「これが本来のモンスターの姿なんだな」なんて夢想したものだが、それが『モンスターハンター:ワールド』では、リアルタイムのゲームとして触れることができるに違いない。

とまあ、まだ第1報が出てから数週間しか経っていないというのに、この妄想っぷり(苦笑)。情報が大量に出るようになったら、僕はいったいどうなってしまうのだろう。このコラムも、当初はE3を総括するようなものを書こうと思っていたんだけど……まあ、今回ばかりはしょうがないな! 我らが 『モンハン』が、新しい道に踏み出したんだからな!
強引に締めつつ、次回から通常運転に戻ります。……たぶん。

『モンスターハンターライズ』プレイ日記 逆鱗ぶいっ!

Vジャンプレイにて連載中!

 

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モンスターハンター:ワールド
■メーカー: カプコン
■対応機種: PS4・Steam
■ジャンル: ハンティングアクション
■発売日: 2018年1月26日
■希望小売価格: 8,980円+税