『Wulverblade (ウルヴァーブレイド)』は温故知新を体現する良作ベルトスクロール!

『Wulverblade 』(ウルヴァーブレイド)プレイレビュー

●単純明快ゲーの現代風解釈

「好きなゲームのジャンルは何ですか??」

と質問されたら、あなたは何と答えますか?

俺、インタビューでこの質問をぶつけられたときのことを想定して、すでに答えを準備しているのである!!(恥ずかしい)

↓こんな感じでね。

「絶対に外せないのがハック&スラッシュ、ローグライク、シミュレーションRPG。さらに付け加えるなら、ベルトスクロールアクション!!!

単純に「RPG!」とか「やっぱアクション!」と答えず、わざと捻りを効かせて通ぶっているところにヒドくイラつくが(自分で言うのもナンだが)、ガチで昔からこのジャンルが好きなんだから仕方がない。ハクスラは『Diablo(ディアブロ)』と、そのオマージュから生まれたいろいろな作品、ローグライクは『シレン』シリーズを筆頭とするもろもろ、シミュレーションRPGは、我が心のゲームでトップ争いをする『タクティクスオウガ』などなど……。

「じゃあ今回紹介するゲームも、その3ジャンルのうちのどれかなんだね!」

読者の皆さんにそう思わせておきながら、扱うのはなんと次点にぶら下がっているベルトスクロールアクションです。

「じゃあハクスラの話とかイラネーだろ!!」

と怒らないで。

ベルトスクロールアクションのゲームを紹介するのには、キチンとした理由があるんだよ!

第一に先日、カプコンの名作ベルトスクロールアクションが7作(!)もパッケージングされたソフト『カプコン ベルトアクション コレクション』を買って遊んでしまい(悪いことみたいだけどw)、すっかり焼け木杭に火の状態になって、

「ももも、もっと!! もっとわしにベルトスクロールをッ!!!」

と、やたらとこのジャンルを求めるカラダになってしまったこと。

そして、この流れで見つけたゲームがめったやたらとよくできていておもしろく、

「これはぜひ、皆さんに紹介しないと!!!!」

と使命感に燃えてしまったのが第二の理由である。

この、ベルトスクロールジャンキーの俺が求め、癒され、納得させられたゲームとは……そう! 9月9日より配信が始まった、プレイステーション4、Nintendo Switch、Xbox One、Steam用ダウンロードソフト『Wulverblade (ウルヴァーブレイド)』なのですッ!!

恥ずかしながらまったくのノーマークであったため、購入した理由は、

「スイッチ版は……1980円か。まあこの値段だったら……クソゲーでもあきらめがつくナ

と思ったから。おかげでワンプレイするまで期待なんて1ミクロンもなく、それどころか、

「もしもつまらなかったらショックだし」

という乙女のような理由でしばらく放置すらしていた。1980円だったらあきらめがつくと言ってたわりにセコイが、先日ふと、「あ、あのゲームやってみるか」となって、ついに起動したのであります。

すると……!

「なんだこのクドいテイストはww これはやっちまったかな……www」

という第一印象が、10秒後には、

「お……。なんか妙に……手触りが……いいナ」

となって、ついに1分後に、

「……うおおおおお!!! ナニコレ!!! めっちゃ出来がいいやん!! おもれええええ!!!」

と大爆発。それから数日経ったいま、こうしてペンを執った次第である。買ったくせに食わず嫌いしていた3日前の俺、いますぐ恥じ入って昇天しろ

何度も書くが『Wulverblade (ウルヴァーブレイド)』は、純粋無垢なベルトスクロールアクションだ。このジャンルは90年代に隆盛を極め、家庭でもゲーセンでも、もっともプレイヤーを燃えさせたカテゴリーのひとつだった。が、ほどなくブームは去って、新作もほとんど見かけなくなった。ところが近年、レトロゲーム(ジャンルも含む)が見直される機運が高まり、スマホのアプリや家庭用ゲーム機で新作のベルトスクロールアクションを見かける機会が増えてきた。この『Wulverblade (ウルヴァーブレイド)』も、そんな上げ潮ムードに乗って現れた新作と言えるかもしれない。

さて、改めて、ベルトスクロールアクション最大の魅力を書く。それは、

単純なこと。

これに尽きると思うのだ。

マニュアルを見ずとも、とりあえず方向キーでキャラを動かし、攻撃やらジャンプやら回避やらのボタンをテキトーに押しているだけでスムーズにゲームが進行してくれる。

それも、爽快に小気味よく

武器やスキルといった調味料はそれぞれのタイトルで用意されているものの、ゲームの大枠はほぼ同じ。

ワラワラと現れる敵を殴り、蹴り、斬る。

ややこしい思考はいっさい排除し、本能の赴くままにガチャガチャするだけでキチンと楽しいのだ。

『Wulverblade (ウルヴァーブレイド)』は愚直なまでに、ベルトスクロールアクションの神髄を踏襲している。テキトーにボタンを叩いているだけで出る多彩なアクションを駆使して敵を倒し、ステージを進めるだけで、まさかこれほど楽しいとは!

しかも、絵がいい……!

スクリーンショットだけを見たときはグラフィックにクセがありすぎて、「この絵は、どうもな……」とプレイに二の足を踏んでいたものだが、実際に自分で動かしてみた瞬間に評価が激変した。細かく、丁寧に描かれたキャラクターとその背景はコミカルなアニメ映画を見ているかのようで、プレイのモチベーションを高めてくれる。切断した敵の腕や頭をブン投げて投てき武器にできる……という、文字だけ見ると凄惨な場面があるのだが、コミカルタッチのグラフィックのおかげもあってか、すんなりと受け入れることができてしまった。

▲俺に斬られて、首が……(((;゚Д゚))) ……いや、ガクブルしている場合ではないのだ。これを拾ってだな……!

▲ブン投げて敵にブチ当てる!! 斬り落とした部位を、投てき武器として使うことができるんですねえ……。

また道中、ツボやらタルやらを壊すと、中からステキな長尺武器が出てくることがある。これらをアンロックしていく、ハクスラ的な遊びもできるから楽しい。

 そして、ベルトスクロールアクションと言えばもちろん、ふたり同時プレイもできるんですねえ。

▲ニンテンドースイッチだったら、ふたりでJoy-Conを分け合ってプレイできる。

せっかくなので事務所のスタッフと、写真のような“テーブルモード”にして遊んでみた。女性スタッフはゲーム画面をひと目見て、

「うええええええ!? すんごく好みじゃない感じなんですけど!! ホントにやるの!!?」

と、失礼なくらい難色を示していたが、いざ始まると……!



「なに!(ズシャア!) これ!(ブンブン!) 単純で!(ザクザク!) 爽快で!(ガンガン!) おもろいやん!!(ブッシャアアアア!!)

てな感じで、撮影が終わってからも、

「オメーは原稿書け! わしはこれ、最後までやる!!www

と言って、ホントに2時間くらいぶっ続けでプレイしておりました(苦笑)。

何度も書くが、ベルトスクロールアクションの最大の魅力は、単純明快で、楽しさがダイレクトにプレイヤーに伝わってくるところだ。『Wulverblade (ウルヴァーブレイド)』はコレに、多彩な武器、アイテム、スキルなどなど現代風な解釈を加え、より深くやり込めるよう遊びの味を深めている。

「難しいことは考えず、ただただ爽快なゲームが遊びたい!!」

そんなことを考えているストレス満タンなサラリーマンには、最適のゲームかもしれないよ。